2013年02月11日

頭痛薬の飲みすぎは、逆効果!

前回は、外来に頭痛で来られる患者様の中で意外に多い副鼻腔炎について書きましたが、頭痛外来をやっていて一番気になるのは、鎮痛剤を飲みすぎてしまっている方が結構多いということです。
薬物乱用頭痛という言葉をご存知でしょうか?簡単に言ってしまうと、薬物乱用頭痛は”頭痛薬の乱用(飲みすぎ)により脳の痛み中枢が敏感になり、普通では感じない程度の刺激を痛みと 感じてしまう状態”です。
そういう状態になりますと、鎮痛剤の効きが悪くなる→頭痛を感じる回数、日数が増える→鎮痛剤を飲む回数も増える→鎮痛剤の効きが悪くなる→…、といった悪循環が繰り返され、最後には”鎮痛剤を飲んでも効かないのにただ漫然と毎日飲み続けてしま”うということになります。
そこまでになって、ようやく”鎮痛剤が全く効かない頭痛が毎日続く”といった訴えで、頭痛外来を訪れるのです。そこで薬物乱用頭痛の説明をすると始めて自分で自分の首を絞めていたことに気付かれるようです。
問題は、脳が痛みに対し過敏になってしまう原因ですが、鎮痛剤を月に10~15日(鎮痛剤の種類によって違います)以上、3ヶ月を超えて飲み続けることとされています。
特に市販薬は、その多くが複合解熱鎮痛薬(成分が複数混じっている)であり、またカフェインが含まれているため、習慣性になりやすく特に注意が必要です。市販薬を飲む場合は、月3、4回程度で済んでいる場合は問題ありませんが、月に10回近くなる場合は、頭痛外来を受診された方が良いでしょう。また市販薬のなかでも、イブ(Aとかクイックという名称がつかない単純なイブ)やロキソニンSなどといったものは、単一成分ですので他のものよりは乱用頭痛になりにくいです。
以下、注意事項を挙げておきますので参考にしてください。

①頭痛薬を飲み過ぎないようにしましょう
②市販の鎮痛薬に頼らず専門医の元で適切な治療を受けましょう
③もともとの頭痛の状態を把握しましょう
④トリプタン製剤や鎮痛薬の服薬は月に10日以内に抑えましょう
⑤鎮痛薬を予防的に飲むのは避けましょう


また、以下の項目に当てはまる方は、頭痛外来を受診しましょう。

①頭痛が1ヵ月に15日以上ある
②最近、早朝の頭痛や頭重の頻度が増えた
③頭痛薬の効きが悪く、すぐに頭痛がぶり返す
④頭痛薬を3ヵ月以上定期的に飲んでいる
⑤頭痛に対する不安から予防的に鎮痛薬を飲んでいる


片頭痛は、残念ながらまだ治す治療法はありませんが、ちゃんと対応することで上手く付き合っていくことは可能ですので、一人で悩まず専門医に相談しましょう!

院長


【第28回健康教室のお知らせ】
テーマ:生活習慣病に効く運動

担当:当院理学療法士
日 時:2月21日(木)午後1時30分~2時30分
場 所:当クリニック3階リハビリテーション室
   (エレベーターにて直接3階までお越しください)
参加費:無料
  

Posted by mizutani at 16:19Comments(4)ブログ